2018/02/12

60歳からの資産運用で心がけるべき8つの視点

Photo: セゾン投信株式会社の中野社長と、GAIA株式会社の中桐社長

日本人の平均寿命が男女ともに80歳を超えている現在、60歳は人生のターニングポイントといえます。定年後の20年以上を主たる収入を得ることなく過ごすことに、不安を抱えはじめる方が多いからです。その結果、貯金、退職金、年金などを使った資産形成への関心を高める方も多いのではないでしょうか。

このようなニーズにこたえるセミナーが2017年4月9日に大阪で開催されました。主催者として語るのは、2016年にフィーベースのサービスをさきがけて立ち上げ、大手の経済新聞やメディアなどに数多く紹介されるFP会社の草分け的存在、GAIA株式会社代表取締役社長の中桐啓貴氏。そして、R&Iファンド大賞4年連続最優秀ファンド賞受賞のセゾン投信株式会社代表取締役社長、中野晴啓氏の2名です。

日本社会における投資や資産運用のより良いあり方を常に模索し、業界をリードしてきた2名が語る「60歳からの投資とは何か」をここで紹介します。

投資信託=失う不安ばかりが先に浮かぶ。

投資信託というと複雑な商品とリスクを想像する人は少なくないかもしれません。そして「リスクを背負うくらいなら、と貯金を切り崩して過ごしてしまうケースが見受けられます」と、セゾン投信代表、中野氏は明瞭に語りました。

「今、銀行などの金融機関の金利はほぼ0%の状態。さらに、マイナス金利時代に突入すると、預金金利への影響はさらに大きくなります。それだけではありません。政府の方針は、デフレを脱却しいわゆるインフレを目指すということ。仮に1%のインフレが起こった場合、手持ちの預金が減っていなかったとしても、価値は1%マイナスしたことになります。昨今の日銀の国債保有率について考えても、今後も引き続き、インフレを実現する方針が採用される可能性が高いのではないでしょうか」との見解を示しました。

Photo:政策動向について語るセゾン投信の中野社長

確かに、銀行に預けておくことが確実という時代はすでに終わっているようにも感じられます。また政策動向によって、将来的に銀行預金の価値が目減りしてしまう可能性もあり得るとすると、預金以外に投資などの資産形成手段をもたなければ、という見方には納得です。

そうはいってもこれまで投資に親しんでいなかった人には、投資という言葉自体にリスクが感じられるのも事実です。しかも主たる収入源がない定年後の生活においては、大きなリスクは避けたいというのが心情です。

このような見方に対して中野氏は「世界規模での経済成長をみることがカギになります」と語りかけました。

「世界規模でみた場合、経済は常に右肩上がりで成長してきています。つまり、先進国も途上国も新興国も含めた国際分散投資を行えるよう、日頃から情報収集を行い、実際に投資のための動きを取れるようにしておくことが、リスク回避のためには有効です」と話します。

確かに過去数十年をさかのぼってみると、世界の各地域で、中長期的には経済が成長してきていることは事実です。もちろん2008年のリーマンショックのように経済環境が大きく悪化することもありますが、その後は新興国の経済成長などによって世界経済は回復しました。

それに加え、中野氏はもう一つ大切なことを語ってくれました。それは「時間軸を使ったリスクヘッジ」です。

「世界経済は右肩上がりに成長しているといっても、ミクロの視点では上下があります。仮に一度、かつ短期間の投資で終わらせてしまうと、ミクロの視点に大きく左右されてしまいます。投資資金が1,000万円ある、というケースでも投資を集中させずに、金額や投資の期間を分けて長期投資することでリスクを避けることができます。」と語ります。

世界経済の右肩上がりの波をじっくりとつかまえることで、同じようにじっくり資産を築いていく、という考え方です。60歳から将来を見据えて投資をはじめることが、一発勝負のギャンブルであってはならないはずです。

だからこそ、毎月決まった金額を貯金するように国際分散投資や長期投資を続けることが有効になるのでは、と感じました。

どんな商品で資産運用を行うのがベストなのか、が分からない。

長期国際分散投資の必要性については理解が進みましたが、最も難しく、多くの方々が不安に感じるのは商品選びではないでしょうか。金融機関の商品はどれも似ているように見受けられ、なんとなく「これが良さそう」と選ばれることも多いのでは、と感じます。

Photo:資産運用に関する業界の課題について語るGAIA株式会社の中桐社長

GAIA株式会社代表の中桐氏の話によると、実際に退職金で投資をはじめた人の実に65%が評価損を抱えているといいます。(出所/フィデリティ退職・投資研究所レポート)。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。それは「退職金受給者を対象に商品案内を行う金融機関が数多く存在するため」と中桐氏は語ります。「いい金融機関、いい商品に出会えれば上手くいくが、それが難しい。なぜなら、資産運用ビジネスに関わる金融機関では、手数料収入目的で自社の商品を積極的に提案するケースが多くみられるためです。」と続けます。

退職金の投資における評価損を未然に防ぐにはどうするべきか。この点について、中桐氏は3つの観点を提示してくれました。「1. ハイペース 2. ハイ分配 3. ハイリスク の3つのハイに注意することです。そして、この3つを見極めるためのポイントがあります」と語ります。

「まず、旬のテーマを追いかける運用は避けるということ。たとえば、オリンピックやワールドカップなどの世界的なイベントが新たに開催される新興国には、経済成長を見込んだ投資が行われ、関連した金融商品も乱立します。一種のバブルのようなものです。ところが、継続的に経済を成長させる実力の備わっていない国や地域の場合、バブル以降に伸び悩むといったケースが多くみられます。」と説明します。

確かにブラジルの経済停滞が報じられることも多く、このような一過性のテーマを追いかけた金融商品を数多く組み込むことは、定年後の資産運用においては不向きだと考えられるかもしれません。

Photo: 勉強会ではワークシートに向かって、参加者も手を動かしました。

「次に、分配金利回りと原資産利回りの差をチェックすることも重要です。この差が大きい場合は、元本を取り崩しながらファンドが運営されていることが考えられます。」と続けます。勉強会では簡単なワークシートをもとに参加者も手を動かして計算した後、中桐氏から説明がされましたが、自分ひとりで数字を扱いながら判断をするのは骨が折れるものだ、ということも改めて実感しました。

「最後に、リスクの大きさを『年間最大損失率』の形で理解することも重要です。一般的に外国株式の年間最大損失率の目安は54.6%といわれ、過去45年間の実績もそれに沿うものとなっています。『自分は最大で、どの程度の損失に耐えられるか』をイメージしながら資産配分を設計することが重要です。」と語ります。

勉強会では、これらを考慮しながらさらに「3つのポケット」に分けて資産を組み立てていくのが効果的だと語られました。

年金などの収入+αとして手にする、インカム。時間をかけて増やしていく、コア。応援したい企業にリスクを踏まえて投資するサテライト。それぞれを自身のライフプランに合わせて構成していくという考え方です。

資産運用に自身の人生を反映させるには?

もちろん、入門レベルの初心者がすぐに確固たる考え方に基づいて資産運用に取組むことは難しいはずです。自身が数十年間をかけて築いてきた資産の運用には、誰しもが思い入れをもって取組んでみたいと思うはずです。

Photo: 参加者からの質問にこたえる、中桐・中野両氏

そのようなときに、どこから情報を集めればいいのか悩んだり、過去の例に学んでみたい、誰かのアドバイスを聞いてみたい、と思うこともあるでしょう。

このようなときに、お金の相談ができる専門家や、知恵袋のような方をもっておくのが重要になるのかもしれません。事実、投資先進国であるアメリカには、金融機関や証券会社に属さず、個人の立場に寄り添い、投資家の利益を最大化することを目指して活動する「ファイナンシャル・プランナー」が数多く存在しているといいます。

60歳からの、より自分らしい資産形成にはそのようなプロの目線も取り入れながら、余裕をもってじっくりと投資に向き合っていくこと。勉強会に参加することで、お金についてまだまだ学んでみたい、と意欲が湧いてくるのを感じました。

「資産運用期を迎える」60歳からの投資入門 まとめ

● 銀行に預けておくことが、リスクになる時代がやってくる。
● 国際分散、長期継続、定期積立による資産運用で、じっくり世界経済の波をつかむ。
● ハイペース、ハイ分配、ハイリスクの3つのハイを見抜く。
● インカム、コア、サテライトのバランスを考え、運用を行う。
● 金融機関や証券会社に属さない、独立系のFPと二人三脚で運用を行う。

<60歳からの資産運用で目指すべき状態>
退職金、年金を失うという最悪のシナリオを回避すること。
気持ちに余裕をもってできること。楽しく生きていくための資産を形成すること。
配偶者ほか、次世代にまで続く資産基盤をつくりあげること。

Photo: 勉強会の最後にはじゃんけん大会が行われ、2名の方に書籍がプレゼントされました。

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