海外へ引っ越す富裕層も
富裕層の移動は国内に限った話ではありません。
円高や慢性的な財政破たんを危惧し、日本に見切りを付けた富裕層も多くいます。ある上場企業社長は、日本株の大半を売却して米国株に切り替え、家族でシンガポールへ脱出したそうですが、決して珍しいケースではありません。
数年前は法人税の高さから、海外へ本籍地を移動する企業が主でした。しかし日本では、法人税はわりと対策が講じやすいため、今ではやや減っています。それに変わって個人が海外に流出しているのです。
その要因として、相続税や所得税の高さが上げられます。日本の(改正前の)相続税は世界全体を見ても低いほうなのですが、相続税や贈与税が一切発生しない国もあります。
海外へ流出する人の中には、アメリカ・ヨーロッパ地域の欧米先進国に限らず、アジア・アフリカ地域の新興国へ向かう人もいます。大規模な都市開発や高度成長を期待して、永住を兼ねて、それらに関係する不動産を買っているようです。
地方の富裕層・高齢者が東京に移り住むと、地方経済は悪化します。ただ県庁所在地・政令指定都市における人口流出は、とめる手立てがあるのではないでしょうか。そこでは、人口が流出する原因を解決するだけでなく、新しい流入を受け入れる寛容性がコミュニティには求められます。